1880年に京都に生まれた津田青楓は、生活の糧として図案制作を
始めたことで画家としてのキャリアをスタートさせます。
図案の仕事を精力的に行う傍ら、谷口香嶠に日本画を学ぶなど充実
した生活を送っていた青楓ですが、やがて始まった日露戦争により
激戦地である二〇三高地へ従軍することに──。戦争や関東大震災、
社会運動など、激しく動く世の中に翻弄されながらも、常に時代に
背きながら自由闊達に筆をふるった津田青楓。
本書は図案、日本画、洋画、書に至るまで、多彩な作品を生涯に
わたって生み出し続けた彼の画業を通覧する初の書籍となります。
また、友である浅野古香や兄の一草亭、深い親交を結び多くの装幀
を手掛けた夏目漱石、ともに社会に立ち向かった河上肇らとの交流
を絵葉書や書簡、作品を通じて紹介することで、青楓の幅広い交友
関係も紹介。作品点数200点余、資料約50点を掲載。詳細な年譜と
豊富な文献目録、さらに関連作家略歴を加え、多角的な視点で、
その生涯に迫ります。